作家によって大きく異なる「天目」は自身の技術と表現を発揮できる最も魅力的なやきものである。若い頃に見た「油滴天目」に魅了され、天目を志し、天目一筋50年。木村盛康先生は兄で天目作家の盛和氏や他の作家とも違った「自分独自の天目」を追求し続けてきた。それは「油滴天目」を目標として、或いは原点のイメージとして制作を行うのではなく、あくまで自分の納得がいく「自分独自の天目とは何か」という視点でアプローチを行っている。50年を経た現在においても、「未だに次にどういうものが出来上がるかわからない。」盛康先生はそう語ります。鮮やかで奥深い釉調、それは夜空に瞬く星群のような神秘的な輝き。「松樹」「宙(そら)」「天空」「アンドロメダ」ほか、何種類もの独創的な天目作品を生み出していても、なお、盛康先生は止まることを知らない探求心をお持ちです。「盛康天目」はこれからも進化し続けていきます。